「この癇癪、いつまで続くんだろう」——先が見えないまま毎日を過ごしていると、体よりも心が疲れてきますよね。癇癪には落ち着いていきやすい時期の目安がありますが、そこには大きな個人差があります。この記事では、時期のおおまかな見通しと、落ち着いてきたサイン、そして長引くときに考えたいことをお伝えします。「まだ続いている」ことは、おかしなことではありません。
癇癪はいつからいつまで?時期のおおまかな目安
癇癪は、自分の意思がはっきりしてくる1歳半ごろから始まることが多く、2〜3歳ごろにピークを迎えるとされています。言葉が育ち、「伝えたいことが相手に届いた」という経験が増えるにつれて、少しずつ落ち着いていく傾向があります。
ただし、ここが大切なところです。この目安には、とても大きな個人差があります。早い子は3歳ごろから減っていきますが、5〜6歳、あるいは小学校に入ってからも続く子もいます。「何歳で必ず終わる」というものではありません。
癇癪が起きる背景も、年齢によって少しずつ変わります。2〜3歳ごろは「やりたいのにできない」「うまく言えない」というもどかしさが中心です。4〜5歳になると言葉やコントロールの力は育ってきますが、まだ未熟な部分が残っており、「ずるい」「不公平だ」といった、より複雑な感情が引き金になることもあります。
そして、いちばんお伝えしたいこと。癇癪が続いているのは、あなたの関わり方が間違っているからではありません。癇癪は発達の過程で起きる自然な現象であり、そのペースは子どもによって違います。
私はスクールソーシャルワーカーとして、「周りの子はもう落ち着いたのに」と自分を責める親御さんに何度も出会ってきました。でも比べる相手は、よその子ではなく、少し前のわが子でいいんです。

落ち着いてきたサインの見つけ方
癇癪の変化は、ある日ぱたりと止まる形では訪れません。少しずつ形を変えていきます。回数が減っていなくても、次のような変化があれば前進です。
1. 回復までの時間が短くなる
以前は30分泣き続けていたのが、20分で落ち着くようになった。これは立派な変化です。癇癪の「頻度」より「立ち直りの早さ」に注目すると、成長が見えやすくなります。
2. 言葉が出てくるようになる
泣き叫ぶだけだったのが、「いやだった」「かして、っていいたかった」と後から話せるようになる。感情を言葉にする力が育っている証拠です。
3. 自分から戻ってこられる
親がなだめなくても、しばらくして自分で気持ちを立て直せるようになる。これは自己コントロールの芽生えです。
こうした変化を見つけたら、ぜひ言葉にして伝えてください。
NG例:「また泣いて。いいかげんにして」
OK例:「さっき、自分で泣き止めたね」「いやだったって、言えたね」
癇癪そのものより、おさまったあとの姿を認めるほうが、次につながりやすくなります。
落ち着いてきたサインの見つけ方
回数が減っていなくても、変化は起きています
① 回復が
早くなった
30分泣いていたのが
20分で落ち着くように
頻度より
立ち直りの早さを見る
② 言葉が
出てきた
「いやだった」
「かして、って言いたかった」
感情を言葉にする力が
育っている
③ 自分から
戻ってこられた
なだめなくても
自分で立て直せる
自己コントロールの
芽生え
※ 比べる相手は、よその子ではなく「少し前のわが子」で大丈夫です
長引くときに考えたいこと・相談の目安
年齢が上がっても癇癪が続く場合、まず知っておいてほしいのは、それ自体が異常を意味するわけではないということです。成長のペースには幅があります。
そのうえで、次のような様子があるときは、一度相談してみる価値があります。子ども自身が強くつらそうにしている、園や学校に行きたがらない、体調に出ている。あるいは、癇癪の場面や引き金がいつも同じで、家庭の工夫だけでは変わらない。そして、親が限界に近づいているとき。これも立派な相談理由です。
相談先は、役所の窓口だけではありません。むしろ、身近なところから始めるほうが動きやすいことが多いです。
いちばん手前にあるのが、園や学校の先生です。毎日集団の中での姿を見ているので、家庭とは違う情報を持っています。「最近、切り替えのときに大泣きすることが増えて」と伝えるだけで十分な相談になります。
次に、かかりつけの小児科医。予防接種や体調不良で受診したついでに聞けるのが利点です。乳幼児健診の場も、発達の相談ができる機会として使えます。
もう少し専門的に聞きたいときは、市区町村の子育て支援・発達相談の窓口や保健センター、地域の発達支援センターがあります。診断がなくても相談できることがほとんどです。名称や利用条件は自治体によって差があるので、詳しくはお住まいの市区町村にご確認ください。
どこから始めても構いませんし、ひとつのところで「様子を見ましょう」と言われても、それで終わりではありません。別の相談先に聞いてみて大丈夫です。
ここでひとつ、現場で強く感じてきたことがあります。相談に来られる親御さんの多くが、「まだ相談するほどでは」と長く迷ってから来られます。でも実際には、早い段階で話しておくほど選択肢が広がります。相談は、問題が大きくなってからするものではありません。
よくある質問
Q. 小学生になっても癇癪があります。遅すぎますか?
A. 6歳、7歳でも癇癪が続く子はいます。年齢だけで判断はできません。本人や家族が困っているかどうかを基準に考えてみてください。
Q. 癇癪が急に増えました。理由はありますか?
A. 進級や引っ越し、家族の変化など、環境が変わった時期に一時的に増えることがあります。生活リズムの乱れや疲れが影響することもあります。
Q. 癇癪が長引くのは発達障害だからですか?
A. 癇癪の長さだけで判断することはできません。気になる場合は、園や学校の先生、かかりつけ医、市区町村の相談窓口など、話しやすいところから聞いてみてください。
Q. きょうだいで全然違います。
A. 同じ家庭で育っても、感情の出方や落ち着くペースは子どもによって大きく違います。育て方の差ではありません。
まとめ
- 癇癪は1歳半ごろから始まり2〜3歳がピークとされますが、個人差が大きく、就学後も続く子もいます。
- 「回復が早くなった」「言葉が出てきた」「自分で戻れた」——回数以外の変化に目を向けてみてください。
- 子どもがつらそう、工夫では変わらない、親が限界に近い。どれかがあれば相談を。園や学校の先生、かかりつけ医、市区町村の窓口など、入口はいくつもあります。
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この記事を書いた人
波多江 文永(はたえ あい)※活動ネーム
精神保健福祉士・特別支援教育士・スクールソーシャルワーカー。学校現場と発達支援の両方から、「診断がつかないけれど育てにくい」お子さんと親御さんをサポートしています。
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