「園から様子を聞くたびに胸がざわつく」「先生にどう伝えたらいいのか分からない」——診断はつかないけれど、集団生活のなかで少し気になる。そんなわが子の保育園生活に、そっと付き添いたいあなたへ。この記事では、発達グレーの子が園で見せやすい困りごとの背景と、先生に角を立てずに特性を伝えるコツ、そして家庭と園で連携していくための具体的な進め方をお伝えします。
発達グレーの子が保育園でつまずきやすい場面
発達グレーゾーンの子は、家では大きな問題がなくても、集団生活のなかで特性が表面化しやすいことがあります。人数が多く刺激が多い、スケジュールが決まっている、一斉に同じ行動を求められる——園はそうした「みんなと合わせる」場面の連続だからです。
よく聞くのは、活動の切り替えでつまずく、行事など予定が変わる日に不安定になる、順番待ちや貸し借りでトラブルになりやすい、といった困りごとです。これらは「わがまま」や「育て方」の問題ではなく、見通しの持ちにくさや感覚の敏感さといった特性の表れであることが少なくありません。
ここで大切にしてほしいのは、園でうまくいかない場面があっても、あなたの関わりが悪いわけではないということです。家庭と園は環境が大きく違うので、出方が変わるのはむしろ自然なこと。まずは「園という環境では、こういう特性が出やすいんだな」と理解するところから始めれば大丈夫です。
私はスクールソーシャルワーカーとして、園や学校と家庭の間に入る場面を数多く見てきましたが、親御さんと先生が「困っている子を一緒に支える仲間」になれたとき、子どもは驚くほど落ち着いていきました。

先生に「伝わる」特性の共有のしかた(文例つき)
特性を伝えるとき、多くの親御さんが「モンスターペアレントと思われないか」「先生に否定的に受け取られないか」と不安になります。ポイントは、お願いや要求ではなく「情報共有」として伝えることです。3つのコツを紹介します。
1. 「困りごと」より「うまくいく工夫」をセットで伝える
特性だけを伝えると、先生は「どう対応すれば?」と負担に感じることがあります。家庭で効果があった工夫を添えると、具体的で受け取りやすくなります。
NG例:「うちの子は切り替えが苦手なんです」(困りごとだけ)
OK例:「切り替えが苦手なのですが、家では『あと3回で終わりね』と予告すると動きやすいです。園でも難しい場面があれば教えてください」
2. 「園を責めない」姿勢を言葉にする
連携は信頼関係の上に成り立ちます。先生の対応を否定するのではなく、一緒に考えたいという姿勢を最初に示しましょう。
NG例:「なんでうちの子だけ叱られるんですか」
OK例:「家でも同じ場面で悩んでいて。園ではどんな様子か、先生の目から教えていただけると助かります」
3. 短い「共有メモ」を用意する
口頭だけだと伝わりきらないこともあります。A5一枚ほどの短いメモにまとめておくと、担任以外の先生にも情報が届きます。書く内容は、苦手な場面/落ち着くこと、の3点で十分です。連絡帳の片隅に一言添えるだけでも、立派な連携の第一歩になります。
先生に渡す「共有メモ」はこの3つでOK
A5一枚・連絡帳の片隅でも大丈夫
① 苦手な場面
切り替え・予定変更・順番待ち など
② 落ち着く声かけ
「あと3回で終わりね」など予告の言葉
③ 家庭で試していること
家でうまくいった工夫を共有
※「お願い」ではなく「情報共有」として渡すのがコツ
こんなときは連携を深めて|加配・専門機関という選択肢
家庭と園のやりとりだけでは支えきれないと感じたときは、もう一歩進んだ連携を考える段階です。選択肢を具体的に知っておくと、いざというとき動きやすくなります。
園での手厚いサポートが必要な場合、加配保育士(特定の子や配慮の必要な子に付く保育士)を配置してもらえることがあります。制度の名称や申請の流れ、対象の考え方は自治体によって差があるため、まずは園の主任・園長に相談し、詳しい手続きはお住まいの市区町村の窓口に確認するのが確実です。
また、診断がなくても相談できる場所として、市区町村の子育て支援・発達相談の窓口や、地域の発達支援センターがあります。園と家庭に加えて専門職が加わると、関わりの方向性がそろいやすくなります。
私が現場で感じてきたのは、連携は「早すぎる」ことはないということです。「まだ様子見でいいかな」と迷う段階でも、園と情報を共有しておくだけで、後々の動きがぐっとスムーズになります。相談は問題が大きくなってからのものではなく、荷物を早めに分け合うための手段なのです。

まとめ
- 園で特性が出やすいのは環境の違いによるもの。あなたの関わりのせいではありません。
- 先生への共有は「要求」ではなく「情報共有」。困りごと+うまくいく工夫をセットで、短いメモにすると伝わりやすい。
- 加配や発達相談の窓口など、連携を深める選択肢を早めに知っておくと安心。窓口は市区町村です。
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この記事を書いた人
波多江 文永(はたえ あい)※活動ネーム
精神保健福祉士・特別支援教育士・スクールソーシャルワーカー。学校現場と発達支援の両方から、「診断がつかないけれど育てにくい」お子さんと親御さんをサポートしています。
この記事の「伝え方」を、
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